今季の営業が始まった高砂市民プール(兵庫県高砂市高砂町松波町)。コロナ禍前までプールサイドの定番だった「アレ」がない。そう、揚げパン。泳ぎ疲れた体に染み渡るあの味はどうなったのか-。60年以上にわたり、揚げパンを提供してきた高砂食品(高砂町鍵町)に話を聞いた。(中川 恵)
「市民プールでは売っていませんが、年中製造しています。食べられますよ」と4代目の藤本憲裕(のりひろ)さん(53)がにこやかに話す。新型コロナ禍と原材料費の高騰、市民プールの存続問題が重なり、2020年以降はプールの売店で販売はしていないという。
同社は1931年創業。市内の学校給食のパンを手がけ、小売りや卸売りも行う。給食のない夏休みには連日、市民プールで売る揚げパンを作った。売店には、泳ぎ疲れて一休みする子どもらが群がった。店から市民プールまでは車で2~3分。最も多いときは10往復以上し、2千個以上売り上げたという。
定番は砂糖をまぶした「棒フライ」、人気はきなこがかかった「きなこパン」で、カレーフライ、あんフライ、カスタードクリームフライ、フランクフルトフライと全部で6種類ある。親しんできた世代は「疲れたときになぜかおいしい」「プールサイドならきなこや砂糖がこぼれるのを気にせず食べられた」と振り返る。
20年、新型コロナ禍で市民プールは営業を中止した。21年は完全入れ替え制で再開したものの、施設内での食事が禁止された。さらに、市民プール自体も老朽化などに伴い、23年度で廃止と発表され、後に代替施設検討のため最長2年の延長となった。また、揚げパンに不可欠な油の値段がコロナ禍前から3倍に跳ね上がった。材料費も光熱費も高騰。市民プールで販売を担っていた団体とも話し合い、今まで通り続けることを断念した。
「市民プールにパンを持っていくのが当たり前だったので、前を通ると寂しい気持ちになる。複雑です」と藤本さん。神戸市西区や姫路市など近隣市にも揚げパンのファンがいて、市民プールでしか買えないと思っている人もいるという。藤本さんは「売店からなくなっても、揚げパンは買えますよ」と念を押す。
工場の一角で一般販売する。平日午前8時~午後6時半(売り切れ次第終了)。団体専用となるナイタープール向けのパンの注文も受け付けている。高砂食品TEL079・442・0045
July 06, 2024 at 03:30AM
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高砂市民プール売店から消え4年…定番の味「揚げパン」どこへ?<記者独断 推しの逸品> - 神戸新聞NEXT
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