宮崎県日之影町をいずれ「アウトロー(変わり種)唐揚げの町」として売り出していけたら――。終わりの見えないコロナ禍で、一度は店をたたもうとした居酒屋の店主が発起し、店の存続と町おこしを掲げた新事業の立ち上げに挑んでいる。
日之影町七折にある1997年創業の「居酒屋左近」。店長の田中祐二さん(49)が、父省二さん(74)と母チズ子さん(75)、4人の従業員と一緒に切り盛りしている。季節にあわせた約70種の料理を年間を通して提供し、ジビエ、山太郎ガニ、蜂の子といったローカルグルメも堪能できる。
町外のファンも多く、延岡市や日向市、諸塚村、五ケ瀬町などから訪れる人も多い。しかし、新型コロナウイルスの感染が広がったこの1年は客足は遠のき、昨年の売り上げは例年の7割減。閉店を考えた時期もあった。
新メニュー開発やテイクアウト料理の販売といった工夫を重ねてきたが、1月の県独自の緊急事態宣言で「今の手法ではもう限界だと感じた」。何か手を打たないと――。着目したのが、創業時からの人気メニュー「豚足の唐揚げ」だった。
ほとんどの客が注文する看板商品。「帰省できない子供に豚足の唐揚げを食べさせてあげたい」。常連客からの相談が心に残っていた。自宅でも食べてもらえるように商品化しようと、思い立った。
県産の豚足を絶妙な火加減で2時間炊き上げ、蒸らしたり流水にさらしたりと、半日がかりの下処理でくさみを飛ばす。片栗粉をまぶして200度に熱した油に投入すると、激しく油が飛び散る。
「あまり一般的にならない理由はこの油はねかも」と祐二さん。福岡や熊本では提供する店もあるが、県内では珍しいという。揚げた豚足を町産ユズで作った特製ポン酢にさっとくぐらせたら完成だ。
約2人前(200~240グラムの予定)を揚げた状態で真空パック詰めにし、冷蔵か冷凍の保存加工を施す。食べる際は、電子レンジかオーブンでの調理を想定している。店と同じ味をいかに出せるかが課題で、値段などは検討中という。6月ごろの完成をめざしている。
「起きたことは変えられない。自ら良い機会に変えていかないと。今はそう思えるようになりました」
口コミ頼りの営業スタイルも変えた。疎かったSNSでの情報発信を始め、高校生の息子からダメ出しされながら奮闘している。
こんにゃくの唐揚げが特産品の日之影町。「『アウトロー唐揚げが名物の町』として地域全体を活性化できたらうれしい」。手探りながらも前向きに取り組んでいる。
豚足の唐揚げを商品化するにあたり、クラウドファンディングで20万円の支援を募った。加工施設の改築や各種検査、パッケージのデザインなどの費用約70万円の一部に充てるためだ。1月25日に始めると、わずか3日で目標額に達した。
支援は現在も途切れず、約100人から計60万円近くが集まり、達成率は300%に迫る(21日現在)。祐二さんは「心からありがたいです。支援と共に寄せられる温かいメッセージに勇気づけられています」と感謝する。
支援プロジェクトは、クラウドファンディングサイトのCAMPFIRE(https://camp-fire.jp/projects/view/357411)で「豚足の唐揚げ」と検索すると表示される。3月22日まで。支援額は5段階あり、それぞれに応じた返礼品(完成した「豚足の唐揚げ」は全てに含まれる)は6月以降に送る。
問い合わせは商品を取り扱うローカル商社SEWANE(0982・78・4424)へ。(浜田綾)
February 22, 2021 at 07:00AM
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豚足の唐揚げで店存続と町おこしへ 日之影の居酒屋店主 - 朝日新聞デジタル
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