自衛隊の定番料理といえば、海上自衛隊のカレーが思い浮かぶ。最近は、航空自衛隊が鳥の唐揚げを売り込む。そんな食の分野で影が薄かった陸上自衛隊が19日、「陸自飯グランプリ」と題する食の総選挙に打って出た。全国の陸自駐屯地が各食堂のイチオシメニューで争い、写真やレシピをもとにインターネット投票でナンバーワンを決める。
全国約160カ所に置かれている駐屯地と分屯地のうち、北海道から沖縄県まで約130カ所が参加し、計約370種類のメニューをエントリーした。メニューは▽ラーメン▽丼▽肉料理▽ご当地グルメ――の4部門に分かれる。部門別のエントリー数は、ご当地グルメの約110種類が最多だった。
陸自のホームページ（HP）で各メニューの作り方やこだわりをレシピ本風に紹介している。なまはげの面を模して具材を配した「なまはげ丼」（秋田駐屯地）や、和風だしにプロテインを加えた「水陸唐揚げ～プロテinの潜入～」（長崎県・相浦（あいのうら）駐屯地）など地域性やこだわり、遊び心が垣間見える。具材を山の形に盛り付けた「日本新三大夜景藻岩山ラーメン」（北海道・真駒内駐屯地）の紹介ページでは、藻岩山の写真を盛り込んだ。
陸上幕僚監部の担当者は「料理がおいしく見えるよう、掲載写真を差し替える駐屯地が多かった」と明かす。メニューの種類が膨大な上、チキン南蛮やごぼう天うどんなど複数の駐屯地が同じメニューをエントリーするケースもあり、見栄えは投票先を決める重要な要素となりそうだ。
投票は19～23日、部門別の予備選が陸自のHP上であり、それぞれの1位を決める。続いて24～28日、部門別で1位になった四つのメニューからトップを決める本選が陸自のツイッターで行われる。本選の投票では応援メッセージも記入してもらう予定だ。新型コロナウイルスの感染が終息すれば、上位メニューの試食会を開く方向で検討している。
陸幕広報室はグランプリの開催について、旧海軍の伝統を受け継ぐ海自のカレーや、空自の唐揚げへの対抗意識からではないと強調。「相乗効果を狙った。食を通じ、自衛隊全体への親しみが高まれば」と話している。【松浦吉剛】
February 20, 2021 at 11:07AM
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