えっ、ここがフィリピン料理店!? 店構えはいかにもサラリーマンに愛される“ザ・定食屋”。店に入ると右の壁には「唐揚げ定食」など見慣れたメニューの文字が並ぶ。一方、左の棚には見たこともない食材や調味料がずらり。日本とフィリピン、2国の食文化が共存する異空間に足を踏み入れた気分だ。
「はーい、いらっしゃい」。底抜けに明るい笑顔で迎えてくれたのは、「ミスティ」店主の松本コンチータフルベさん(62)。2020年に夫婦念願の飲食店を福井県小浜市にオープンし、22年6月に現在の場所に移転したばかりだ。
フィリピン料理ってどんなんだろう。今ひとつイメージがわかなかったため「代表的な料理を」とお願いした。すると、出てきたのはどーんと一匹丸ごと素揚げした魚。ティラピアという淡水魚で、フィリピンの一般家庭ではおなじみの食材らしい。イズミダイとも呼ばれ、ふっくらとした白身はタイっぽい。臭みはなく、味は淡泊だ。
そこで決め手になるのが調味料。2種類用意してもらった。一つは「バゴーン」というトウガラシ入りのアミエビの塩辛。白身にほんの少しつけて食べてみると、たちまち口の中にエビの香りがバゴーンと広がった。ピリッとした辛みと強い塩味が白ご飯に合う合う。
もう一つは、お酢がベースの調味料。高温多湿のフィリピンでは、傷みを防ぐためお酢を使う料理が多いという。ニンニク、トウガラシ、刻んだタマネギが漬け込まれていて、これはこれで酸っぱくてうまい。
煮込み料理「カレカレ」も現地で親しまれる味。豚足と牛の胃袋「ハチノス」を、ココナツとピーナツのソースに香辛料を加えぐつぐつ。辛くはなくクリーミー、圧力鍋で30分煮込んだ豚足はプルプルだ。シャツの袖をめくり、わんぱくに手づかみでガブリ。行儀が悪いと思いつつ、でもこの食べ方が一番おいしいのだからしょうがない。
「たくさんあるから、おかわりしてね」。おもてなしの心を大切にする国民性からか、終始楽しいトークで場を和ませてくれたコンチータさん。あなたの笑顔が最高の調味料でした。
◇ミスティ 福井県小浜市川崎2丁目5の3。営業時間は午前7時~午後6時。水曜定休。フィリピン料理の提供は、前日午前中までに予約が必要。電話090-5129-7532。
フィリピン料理「アドボ」の作り方
ピリッとコショウが利いた甘辛い味付けがやみつきになる煮込み料理「アドボ」。食材は牛肉や豚肉、イカなど冷蔵庫にあるものでOK。お薦めは、骨からおいしいだしが出る鶏の手羽先や手羽元だ。
October 27, 2022 at 04:00AM
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一匹丸ごとティラピア素揚げ、調味料で味変 福井県小浜市のフィリピン料理店「ミスティ」 - 福井新聞
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