Search

空前の唐揚げブーム、その継続の可能性を探るもうけの仕組みと「今後の予測」 - Esquire

age.prelol.com

この1年で店舗数は27.7%も増加
今も成長し続ける唐揚げ市場

 日本唐揚協会の調査(※1)によると、2021年4月時点での全国の唐揚げ専門店の数は推定3123店舗にも上るという。これは2018年の1408店舗と比較すると、3年で約2.2倍まで増えたということを示している。また、2020年の時点では2445店舗であったことから、この1年で27.7%も伸びたということになる。

 この数値を見ても、新型コロナウイルスの発生当初にとどまらず、唐揚げブームはいまだ健在であり、着実に拡大しているようにもみえる。むしろ、現在は第2フェーズに入っていると言っても過言ではないだろう。

【出典】
※1:第12回からあげグランプリ®授賞式 | 日本唐揚協会

This content is imported from YouTube. You may be able to find the same content in another format, or you may be able to find more information, at their web site.

唐揚げ人気の秘訣は
多様性時代に対応できる
柔軟性の高さ

 2020年にニチレイフーズが行った「好きなおかずランキング」(※2)によると、焼き肉やギョーザなどの人気具材を破って、唐揚げが堂々1位に輝いている。また、同調査によると、全体の約80%が月に1回以上のペースで唐揚げを食べており、なんと年間の唐揚げ総消費量は400億個にも上る(推計値)。さらに、コロナ渦の影響を受けて、前年比167%見込みと急成長を遂げた。

唐揚げ,から揚げ,フライドチキン,自宅めし,テイクアウト

 また、唐揚げが数カ月間のブームに収まらず、これだけ長い間人気を保っている理由は、何といっても唐揚げならではのフレキシブルさにあるのではないだろうか。まず、おかずランキングで1位に君臨していることからも分かる通り、唐揚げは非常に扱いやすい具材である。

 一口に「唐揚げ」と言っても、塩味やしょうゆ味など、味のバラエティは無限大だ。また、さまざまなソースとの相性も良く、ポン酢ダレやマヨネーズ、タルタルソース、ねぎソースなど、そのバリエーションは多岐にわたる。また、カレーやラーメン、そばなどのトッピングや、おにぎり、サンドイッチなどの具材としても使える、いわば主役にも脇役にもなれる変幻自在の食べ物なのである。

 さらに、弁当や白米など、日本の食文化にマッチしているというのも大きい。肉自体は元々白米と相性が良いとされているが、中でも鶏肉はヘルシーで価格も安い。そして何より、唐揚げは子どもたちにも喜んで食べてもらえる。そのため弁当のおかずとしても人気だ。ソースのレパートリーを変えれば、手作り弁当の欠点でもある「ワンパターンによる飽き」も防ぐことができる。このメリットだけを見ても、唐揚げはコスパの良い具材であるといえるのではないだろうか。

asian businessman working from home enjoying takeaway meal at home, karaage bento
※写真はイメージです。

SetsukoNGetty Images

 また、気軽にテイクアウトができるというのも、現代の家庭事情に適しているといえる。昔と比べ、現在では、女性の社会進出や高齢化などが原因で、家庭で揚げ物をする機会が減少している。油の処理などに手間がかかるからだ。

 ここで、唐揚げをテイクアウトした場合と、自分で調理した場合のコストの違いを分析してみよう。人気唐揚げ専門店の価格を見てみると、調理済みの唐揚げは、100gあたり250円前後で販売されていることが多い。一方、自炊するとなると、スーパーの鶏もも肉が100gあたり大体110円から150円だ。しかし最も量が少ないものでも150g~200g以上あるものがほとんどであるため、165円〜300円の間で値段が変わる。また、唐揚げ粉を使用する場合、さらに100円ほど上乗せされる。さらに、自分で調理をし、油の後始末までしなければならないことを考えると、コスパが良いといえるかは疑問が残る。

唐揚げ店の店舗数急増は
新規事業へのハードルの低さが要因か

 前述の通り、2021年4月時点で全国にある唐揚げ店の数は推定3000店舗を超えている。2012年は450店舗であったことから、この9年間で実に約7倍も店舗が増えているということである。その理由としてまず挙げられるのは、「新規参入のハードルが低いこと」だ。

 鶏肉は元々原価が非常に安いが、業務用のものを用いたり、中国やブラジルからの輸入品を使用したりすればさらにコストを抑えられる。また、唐揚げ店は冷蔵庫とフライヤー、排気口さえあれば開業できる。そのため、設備投資を含めた準備資金も安く、最低35万円から開業可能だともいわれている。さらに、テイクアウト専門店であればスペースの広さも不要であるため、より低コストでの事業参入が可能だ。

 その他にも、高度な調理技術が不要であることも新規参入しやすい理由の一つだ。唐揚げは調理が簡単で、特別な技術を習得することなく誰でも気軽に作ることができる。また、短時間で簡単に量産することが可能であるため、人件費も削減しやすい。

から揚げ,唐揚げ,フライドチキン,自宅めし,体躯アウト,ニューノーマル,japanese fried chicken
※写真はイメージです。

KPSGetty Images

 先にも述べたが、しょうゆベースや塩ベース、だしベースなどの味付けのみならず、鶏肉はチキン南蛮、ヤンニョムチキン、油淋鶏など、ソースや調理方法によって、メニューのバリエーションを増やすことも容易だ。味の差別化を図るというのも、唐揚げ店を運営するにあたって大きなポイントである。

 さらに、現在では「鶏笑」や「中津からあげもり山」「からあげの匠」など、フランチャイズ加盟募集を行っている企業も多く、借り入れから売り上げ管理までサポート体制が整っているというのも、参入へのハードルが低くなっている要因の一つだと考えられる。

 このように、年々急成長を遂げている唐揚げ市場だが、一体このブームはいつまで続くのだろうか。一過性のバブルとして終わりを遂げるのか、それとも人気は定着するのか。ここからは唐揚げ市場の近年の傾向と、今後の可能性について検討していく。

唐揚げ専門店もオンライン化?
考えられる懸念と課題は?

 これまでイートインで勝負してきた店舗は、新型コロナウイルス発生後「新しい売り方」への対応に追われてきた。この1年で大きく変わったのは、テイクアウトだけではなく、世間のデジタル化の流れに合わせて、オンラインへと移行する店も増えているということである。

This content is imported from Twitter. You may be able to find the same content in another format, or you may be able to find more information, at their web site.

 例えば、2019年12月にオープンした「東京からあげ専門店 あげたて」は、オンラインデリバリーサービス限定店舗、いわゆるゴーストレストランという形で店舗を運営している(※3)。7月12日には、176店舗目がオープンするというものすごい速さで店舗数を増やしている。

This content is imported from Instagram. You may be able to find the same content in another format, or you may be able to find more information, at their web site.

 また、2020年3月にはGLUGが運営するゴーストレストラン「人は唐揚げに熱狂する。」が4店舗オープン。こちらも現在7店舗あり、それぞれUber Eatsや出前館、foodpandaなどのデリバリーサービスに対応している。

 さらに、すかいらーくが運営する「から好し」(※4)は、2017年にできたばかりだが、同じすかいらーくが運営するファミリーレストラン「ガスト」の店舗でも取り扱われている。今年1月には、「から好し」を取り扱うガストは600店舗を突破した。イートインやテイクアウト、Uber Eatsなどを使ったデリバリーサービスなどで売り上げを確実に伸ばしている。

This content is imported from Facebook. You may be able to find the same content in another format, or you may be able to find more information, at their web site.

 このように、唐揚げ専門店が急増している中で、今後は一刻も早く世の中の流れを読んで対応する迅速さや、差別化が求められていくだろう。実際に、販売方法だけではなく、「地元の○○を使った唐揚げ」や「○○仕込みの唐揚げ」といったキャッチフレーズや、とにかく大きさにこだわった唐揚げなど、独自性を追求している店舗も増えつつある。

 しかしオンラインデリバリーには、デメリットもある。「Eコマースと異なり、配達範囲が限られている」ことだ。今後需要や消費がさらに高まっていくにあたって、大手が唐揚げ市場で競走優位を保つためには、前述した「から好し」のように、さらなる販路の拡大が重要となってくるだろう。

【出典】
※3:株式会社Globridgeのプレスリリースより。
※4:株式会社すかいらーくホールディングスのプレスリリースより。

チキン大国・韓国では
「唐揚げ店廃業」が社会問題に?

 ここで、日本よりも一足先にチキン文化が浸透しているお隣・韓国の「唐揚げ事情」をご紹介しよう。同国でも、ヤンニョムチキンやダッカルビ、タッカンジョンなど、鶏肉を用いた料理が豊富だ。韓国の場合は、転職が困難な中高年の失業者が、手軽に始められることからチキンデリバリーに乗り出すことが多い。ちなみに同国では、2020年の1年間で約68億米ドル相当ものフライドチキンを消費したといわれている(※5)。

 一方で、2019年にKBファイナンシャルグループは、過去4年間でフライドチキンの消費量は増加しているにもかかわらず、事業は閑散としているとのデータを発表した。需要に応じて事業に新規参入する人が増加している一方で、2018年には約8400もの店舗が閉店したという。

唐揚げ,から揚げ,フライドチキン,ヤンニョムチキン,yangnyeom chicken,愛の不時着
人気韓国ドラマ『愛の不時着』で日本でも人気となった、魅惑の韓国唐揚げ…「ヤンニョムチキン」。

ma-noGetty Images

 フライドチキン自体の総売上高が増加している一方で、市場は飽和状態にあるため、運営費の増加や事業の収益の低下が、業界に打撃を与えているとみられている(※6)。こうなると、競走優位性が低い店舗は利益を得ることができない。だが、フランチャイズ本社へのロイヤルティは支払わなくてはならない…。このような過当競争の中生き残るためには、他店にはない強みを持ち、差別化を図るほかない。

【出典】
※5:South Korea Ate $6.8B USD in Fried Chicken This Year | HYPEBEAST
※6:No. of fried chicken stores dwindle at faster pace | The Korea Herald

日本の唐揚げブームは一過性なのか
果たして定着の兆しはあるのか

 「日本の唐揚げブーム」に話を戻そう。総務省統計局の2018年〜2020年のデータによると、鶏肉の消費量は九州地方が圧倒的に多く、東日本では少ない(※7)。

 九州地方でこれだけ唐揚げ文化が定着しているところを見ると、東日本でも唐揚げ人気が定着する可能性は大いにあるといえるのではないだろうか。コロナウイルスの影響による節約志向や、オンライン化の浸透などを考慮しても、唐揚げは今の時代と非常に相性の良い財であるといえる。

唐揚げ,から揚げ,テイクアウト,fried chicken meat, japanese karaage
※写真はイメージです。

C_SombutpinyoGetty Images

 とはいえ、供給側の数も増えているため、競争率は今後より一層高まってくることが考えられる。

 前述した韓国の例にあるように、レッドオーシャンになりつつある市場で競走優位性を構築し、多様化時代で生き残っていくためには、いかに他店と差別を図れるかが、今後ますます重要となってくるだろう。

【出典】
※7:家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2018年<平成30年>~2020年<令和2年>平均)| 統計局ホームページ

※この記事は2021年8月16日に公開されたものです。

Adblock test (Why?)


August 23, 2021 at 08:32AM
https://ift.tt/3zm6pec

空前の唐揚げブーム、その継続の可能性を探るもうけの仕組みと「今後の予測」 - Esquire
https://ift.tt/3lcQCrE
Mesir News Info
Israel News info
Taiwan News Info
Vietnam News and Info
Japan News and Info Update

Bagikan Berita Ini

0 Response to "空前の唐揚げブーム、その継続の可能性を探るもうけの仕組みと「今後の予測」 - Esquire"

Post a Comment

Powered by Blogger.