農林水産省の地理的表示（GI）保護制度に登録されている富士市の田子の浦沖で取れるイワシの稚魚「田子の浦しらす」について、同省は5日までに、釜揚げシラスを追加する変更登録を認めた。生シラスと釜揚げシラスの双方がGI登録商品としてPRできる。海産物と加工品の両方が登録の対象になるのは「越前がに」（福井県）に次ぎ全国2例目という。 登録は3月31日付。追加された釜揚げシラスは、一艘曳（いっそうび）きで水揚げした稚魚を即座に氷漬けするなど鮮度の高い「田子の浦しらす」を使用したもの。田子の浦漁協の調査では、現在約20業者が加工していて、早い加工場では水揚げから1時間以内に釜ゆでされる。鮮度が高く、身に傷が少ないシラスを使った釜揚げはきれいな「し」の字の形になり、うま味が濃いという。 同漁協は生シラスの登録直後から釜ゆでとちりめんの追加の検討を始めた。一度は19年2月に申請したが、歴史資料が少ないちりめんを断念し、同年11月に方針を変更して釜揚げシラスに絞った。 同漁協の志村正人組合長は「多くの皆さんの口に入る釜揚げシラスが、GIに登録されたことに意義がある。さらなる活性化に向け、PRしていく」と話した。同漁協は他地域産のシラスの混入を避けるため、管理基準を策定し、加工業者などに周知徹底を求める。ブランド化の効果を漁業者から、加工業者まで波及させたい考え。
April 06, 2021 at 12:17PM
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