新型コロナウイルス感染拡大の影響で多くの飲食業が苦境に陥る中、唐揚げ専門店が堅調に売り上げを伸ばしている。外出自粛やテレワークの浸透に伴ってテークアウト商品が売れるようになるのは自然な流れではあるが、人気の背景には、唐揚げならではの理由も見え隠れする。
埼玉県春日部市役所の地下1階に店舗を構える唐揚げ専門店「光苑」は、「海鮮唐揚げ」を目玉商品とする人気店だ。秘伝の海鮮ダレに鶏肉を漬け込み、限界まで衣を薄くして仕上げた海鮮唐揚げは、日本唐揚協会が主催する「からあげグランプリ」の塩ダレ部門で金賞を受賞した。
「自宅で作ると油の処理に手間がかかるし、味では専門店にかなわない」
光苑で頻繁に唐揚げを購入しているという春日部市の女性会社員(52)はこう話す。
光苑創業者の相川幸子さん(47)によると、新型コロナウイルス感染拡大を受けて緊急事態宣言が発令された4月以降、テークアウトの売り上げが前年の約1・5倍に急増したという。
「唐揚げは主菜にも副菜にもなる。巣ごもり生活で『調理疲れ』した主婦にとっても便利な一品なのではないか」と相川さん。
調査会社の富士経済が6月に発表した報告書によると、今年の唐揚げ市場の規模は前年比約2割の増加が見込まれている。
唐揚げ人気の高まりを受け、新規参入する動きも出始めた。居酒屋大手のワタミは、これまでは埼玉県内に展開していなかった唐揚げ専門店「から揚げの天才」を今年に入り、川口市や上尾市などの7カ所で新規開業した。同社によると、どの店舗も売り上げは好調で、年内に追加出店する可能性もあるという。
日本唐揚協会の調査では、県内の唐揚げ専門店は平成30年4月時点で52店舗だったが、今年4月には118店舗になった。
増加の背景には新規参入のハードルの低さもあるようだ。同協会によると、唐揚げ店は原則、フライヤーと冷蔵庫さえあれば営業できるため、他の飲食業に比べて初期費用は約3分の1で済むという。
協会専務理事の八木宏一郎さん(45)は「自宅での調理の手間、巣ごもり需要などのさまざまな条件が重なった結果、唐揚げの売り上げが伸びている。今後、唐揚げはさらに身近な存在になるのではないか」と語った。(竹之内秀介)
November 17, 2020 at 06:28PM
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コロナ禍でも「唐揚げ」売り上げ好調 - 産経ニュース
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