カリッ、ジュワッ、グビッ。揚げたてにかぶりつき、口中で躍動するジューシーな肉を、冷たいビールで胃袋へ流し込む。気になってきたおなか周りも、コロナ禍でたまったうっぷんも、その瞬間だけは忘れさせてくれる。唐揚げ、最強。
愛媛に赴任して2年。街を歩けば、唐揚げのうまい店に突きあたる。
愛媛は「唐揚げ発祥の地」という説もある。今治市の郷土料理で、骨付き鶏の唐揚げ「せんざんき」がルーツともささやかれている。約300年前の江戸時代、近見山でとれたキジを揚げたものが原型だとか。
そんな愛媛に、「揚げ物にぴったり」と言われるブランド鶏がある。「松山どり」だ。
加工や販売を手がける精肉加工会社ビージョイ(松山市)によると、松山どりは県内の農場で育てている。50日あまりの成育期間のうち出荷までの約30日間は、ハーブやスパイスから抽出したエッセンシャルオイル混合の「特別なエサ」を食べさせる。
「ハーブの刺激でエサの消化が良くなり、健康に育つ」と担当者。肉のくさみが減り、風味や鮮度が長持ちするのだという。
「くせがなくて、何よりやわらかい。松山どりを使うと、ジューシーな唐揚げに仕上がります」
総菜加工会社フジデリカ・クオリティ(松山市)のバイヤー満足昭彦さん(42)は胸を張る。健康に育った松山どりの魅力を最大限に引き出す調理法が、唐揚げなのだ。
開発に携わった揚げ物は、愛媛を拠点に中四国に展開するスーパー「フジ」で売っている。この5月に送り出したのが、松山どりの「唐ふじ 鶏ももから揚げ」。ただの唐揚げではない。日本唐揚(からあげ)協会主催の「第12回からあげグランプリ」西日本スーパー総菜部門で、参加31社中1位の「最高金賞」に輝いた。
特製ダレを丁寧に手もみして一晩つけ込み、一切れずつ俵型に丸めた。外側を鶏の皮で包んでいるので、カリッと揚がるという。
「しっかりした食感の地鶏は、揚げると硬くなってしまう。地鶏では出せない味」と満足さん。やわらかな松山どりが、揚げ物にぴったりな理由だ。
唐揚げ以外にもおいしい食べ方はある。松山市一番町の一品料理店「家紋」は、夜メニュー限定で松山どりを使った創作料理を出す。店主の高岡とき子さん(79)の孫、美穂さん(36)が3品作ってくれた。
中華風の「水晶鶏」は、片栗粉をまぶし、湯がいた鶏肉を冷やしたもの。ぷるんとした食感で、舌の上を滑っていく。
和風の「松山どりのレモン鍋」は、シンプルに塩こしょうで味つけ。くさみがないから、レモンの香りと一緒に爽やかな味わいだ。
トマトとチーズと一緒に煮込んだ洋風の「鶏トマチー」は、肉をごろんと大きめにカット。やわらかいのでコッテリ感がなく、箸が進む。
くせがないので、「あっさりにもコッテリにも、何にでも使える。鶏肉が苦手な人でも、おいしく食べてくれます」。美穂さんはそう言って、太鼓判を押した。(照井琢見)
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唐ふじ 鶏ももから揚げ フジ直営各店で販売中。100グラムあたり246円(税込み)。
家紋 50年の歴史がある一品料理の店で、海鮮や地酒も人気。午前11時半~午後1時40分(土日祝日休み)の昼営業は、とき子さんの家庭料理が楽しめる。午後5~11時(日祝日休み)の夜営業では、美穂さんの創作料理も。松山市一番町1の8の4。電話089・943・7667。
June 29, 2021 at 08:00AM
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